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情報誌『めりぃさん』に室井滋さんが登場!

撮影/神尾典行 ヘアメイク/鈴木將夫 スタイリング/多木成美 取材・文/中村さやか

チャーミングでやわらかな笑顔が素敵な室井滋さん。年齢を重ね、一緒に過ごした祖母を思い出す機会が増えたといいます。背伸びをしない等身大の日常について、お話しいただきます。

大好きな祖母の認知症は女優を目指す原点にも

富山県の小さな町で生まれ育った私は、江戸時代から造り酒屋や荒物屋などの商売をしてきた室井家の10代目。小学生のときに両親が離婚して、私と祖母と父の3人暮らしが長かったんです。最近、私も歳を重ねてきたせいか、祖母を思い出すことが多くなりました。

 

私は大のおばあちゃん子。祖母とは顔も似ていて、双子のように仲良しでした。朝、祖母が私を幼稚園まで送り届けて「じゃあ、おばあちゃんもう帰るちゃ」と言うと、私は「やーが、やーが」と泣いて離れない。それを繰り返しながら結局教室までついてきてもらうんですが、友だちの前ではカッコ悪いので「ばーちゃん、もう帰られ」と強がって(笑)。寝るときもいつも一緒だった私を、祖母がなんとか策を練って自立させようとした実話をもとに、6年前に『しげちゃんと じりつさん』という絵本も書きました。

 

富山の人間らしい忍耐強さとユーモアのある、頭のいい祖母でしたが、私が中学生くらいの頃から認知症の症状が出始めます。トイレの鍵が開けられずに出られなくなるなど、少しずつおかしいなということが増えて。 あるとき、お正月に出すお膳が座敷にずらっと並べられ、ごはんが山ほどよそってありました。何事かと聞くと、これは誰それの分だと亡くなった舅や親せきの名前を挙げて。当時は認知症が今のように解明されていない時代でしたから、どうしたの?と、たびたび責めてしまったんです。すると悲しそうな顔をして「あんたは、歳とられんな(歳をとらないでね)」と口にしていたことを、今、すごく思い出します。

 
認知症の症状が強くなってからは、なるべく怒らせず、楽しく過ごせるように心掛けました。ごはんを食べたことを忘れないように、食べた印として指に赤い糸を巻いてあげたことも。当時の私は遊びたい盛りの年頃。父は仕事で不在がち、祖母も早くに寝るので、夜になると、家は火が消えたように寂しくなりました。長い夜の時間をつぶすため、しだいに映画や芝居を見に街へ出るように。ノートに感想文を書いてチケットの半券を貼って父に見せると、お小遣いがもらえました。中学生ながら大人の鑑賞グループに交ぜてもらい、ディスカッションの様子を見て、自然と演劇の道に入っていったように思います。

写真左:絵本ライブで子どもの頃の思い出を描いた絵本を朗読しています。チビッコは笑って、お母さんは泣いてくださるんです。

右:台所のテーブルで仕事の資料を広げると、必ず愛猫たちがその上に!「ちょっと、どいてて」「ニャニャニャ~?」の攻防戦。写真は愛猫の1匹だった「ロング」。

 

ガラケーで記憶力維持銭湯で裸のつき合いも

幸い女優という仕事やエッセイの執筆は、頭を使う作業です。せりふ覚えや原稿を書き上げる時間など、老いの自己確認をわりとしやすいんですね。私には子どもはいませんし、一緒に暮らしているパートナーは一回りも歳が上なので、順番からいったら自分が最後。田舎の家やお墓の管理をどうしようかと、なんとなく逆算し始めているところです。日常生活でも、できるだけ物を増やさないようにと意識が変わってきました。自分の趣向で似たような物を集めてしまいがちですが、古い物ほど愛着があるので新しく物を買うのはやめようと思って。でも、たまには買い物だってしたいですけどね(笑)。

 

私はいまだに携帯電話はガラケーです。だけど、世の中の情報をキャッチするのは人一倍早いんです。やけに気になる話題や、いろいろな所で耳にした話など、印象に残るニュースに自然と意識を向けています。すると積極的に調べなくても、自分に必要な情報が入ってくるんです。

 

スマホだけに頼った生活だと、自分で記憶していることが少ないから、大きな災害が起きたときにすごく不安になりますよね。私ね、人の電話番号を50個覚えているんです。その記憶力が自分の自信につながっているし、どこか緊張した部分を持って毎日を送ることが大切なんだと思っています。

 

そしてやっぱり最後に頼りになるのは、地域の友人たちや駆け込める場所。私は田舎の出身ですから、地域に商店街があって個人商店の人たちと話ができるような暮らしじゃないとダメなんです。

 

毎日銭湯に通って裸のつき合いをしているうちに、顔見知りもずいぶん増えました。「最近あの辺に野良猫がすごい多いよ」と地域の情報を聞いたり、「テレビを見たけど最近ちょっと老けたんじゃない?」と言われたりして。そういうことが私にはすごく大事なんです。

 

 

すっぴん生活の秘訣は1日30品目の食品

お化粧は仕事のときだけで、普段は100%すっぴん。日焼け止めも塗らないし、化粧水やクリームも全然つけていないんです。でもお肌の調子は悪くないし、真冬でもそんなにカサカサしません。自分でもなんでかなと思うんですが、おそらくすごくごはんを食べているから。1日30品目の食品を食べる生活を続けています。必ず食べるのは納豆。タンパク質を意識して豆乳もよく飲みますし、発酵食品やキノコ類、ミョウガやシソなどの薬味もどっさりとります。特別な運動はしていないんですが、普段から自転車に乗っているし、家の階段を上り下りはかなりしています。大相撲の時期になると、同郷の朝乃山の取組を見ながらシコを踏むこともありますけど(笑)。無理をせず、身の丈に合った居ごこちがいい生活を、いかに維持していくかを心掛けています。

 

容姿や体力も、昔の自分と比べると、そりゃあ劣っていることだっていっぱいありますよ。でも今やっていることは昔の自分にはできなかったことかもしれないし、昔に戻りたいとも思いません。昔と今の自分を比べたって仕方ない。もっとこうなりたい、こうしたいと思っても、今からじゃ無理なことは無理じゃ ないですか。例えば、これからハリウッドに挑戦するのは言葉の壁が大変なこともわかっているから、可能性がある人がやればいいと思うんです。

 

でも今からやれることも、たくさんある。選択肢は狭まるけれど、多過ぎてもかえって大変だと思うので。自然に選択肢が狭まったほうが選びやすいし気持ちもラクになると思うんですよね。たとえ達成が遅くても、それでいいんですよ。すべては自分の価値観次第。何をやるにも古いとか新しいとか、歳をとっているからとは本当に思わなくなりました。むしろ年齢を重ねた今のほうが、いろいろなしがらみから解放されている。そう思えるようになってきたところです。

 


室井 滋さんの最新作は赤ちゃん絵本『タオルちゃん』



室井 滋 さく/ひらぎ みつえ

¥1,100/株式会社金の星社
今治タオル 名誉タオルソムリエを務める室井さんと
絵本作家ひらぎ みつえさんがコラボ!
読み聞かせにおすすめの一冊。

室井 滋さん

むろい•しげる●女優・エッセイスト。早稲田大学在学中より映画に出演以降、多くの映画賞や芸能賞を受賞。’22年映画「七人の秘書THE MOVIE」に出演。新刊絵本『タオルちゃん』(金の星社)、『会いたくて会いたくて』(小学館)他、電子書籍化含め著書多数。しげちゃん一座絵本ライブを開催中。

シャツ・パンツともに ¥11,880 SOU・SOU/SOU・SOU KYOTO 青山店 ☎️03-3407-7877
ベレー帽 ¥6,600 OVERRIDE/OVERRIDE 神宮前 ☎️03-6433-5535


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